ゼロ村の森の親子ようちえんは、「親子で楽しむ」をコンセプトにしてやっています。
池で生き物をとったり、川で生き物を取ったり、馬に乗ったり、アウトドアクッキングをしたり、子どもたちが「自分で遊びを自由に選択して遊ぶ」ためにご両親には「『禁止語』『指示語』」を極力使わない」というルールを設けております。
まず、親子で楽しむとありますが親はどうやって楽しめるのでしょうか・・・
「子どもが自然の中で楽しむ」というのは、容易に想像ができます。川で、魚を取ったり、馬に乗ったり、木を切ったり、焚き火したりなどなど。
しかし、親は楽しめるのでしょうか。「親は子どもと一緒に余暇活動をするだけで楽しい。」わけですが、『禁止語』『指示語』を極力使わないというルールを設けただけで、意外な変化が起こりました。
プログラムの後半に参加した親同士とスタッフで振り返りをしています。
親の意見を聞いていると、『(我が子を)自由に遊ばせたい』という気持ちと『何かあったら心配』といった二つの気持ちの中で揺れ動いていることが見えてきました。
☆参加した親の発言を元にして一つの事例をご紹介します。
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母:前回来たとき、着替えを持ってこなかったので、その反省を活かして今回は1週間ぶんくらい持ってきました。(笑)
全体:「え…1週間分も?」と周りはどよめきました。
母:今日、森の親子ようちえんに参加する以前にちょっとした旅行へ行き、そこにも水たまりに氷が張っていて、子どもたちが氷に興味を持ち、遊び始めたんです。しかし、その後の旅路を考えるとここでビチャビチャになられては困るので『あぁ やめてよ』って言っちゃっている自分がいて、今日は『落ちろー』って思っていました。
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母親は、1回目に参加したとき着替えが少なくて「もう終わりと」と途中で遊びをストップさせたみたいですが、今回は、着替えを十分用意したので余裕があり「池にどんどん落ちなさい」と言わんばかりで、まるでTVでコメディー番組を見ているようにお話しをされていました。
同じ家族団らんのひと時で、同じ「見る」行為をしているのに…
◇「あぶなそうだな」と見ている
◇「面白そうだな」と見ている
と見方が変わるだけで相反する感情が生じ行動がかわっていくのがわかります。
また、子どもが、池の氷で遊ぶとき、その遊びに没頭したい気持ちとは別に『親におこられるのでは…』とか気になったりします。
それはとても自然なことで、絶対的な存在である親をちょろちょろ見ています。
その時の親が…
「濡れるからやめて!」「危険だからやめて」と反応するのと、ニコニコしながら様子を観ているときの子どもの反応は・・・?
「禁止語、指示語を使わない」というルールによって、大人が色々考え行動してみた結果、ちょっとした親の「眼差し」の変化で、新たな親子関係が見えてきました。
今回、親の変化のプロセスは書きましたが、子ども描写はありません。それは、親本人にその違いを感じてもらいたいので、あえて書かないでおきました。
もちろん、忙しい日常生活では、「危ないからやっちゃだめ」「いいからこっち来なさい!」と言わないことは難しいかもしれません。
観光とは「国の光を見る」という意味があります。非日常空間へ出て、日常を振り返る。
「森の親子ようちえん」では、親子で楽しみながら、改めて親子関係を見直してもらえればと思っております。