新しい価値を高める旅のはじまり

ゼロ村牧場パカラッチョは、令和元年9月1日をもって6年目を迎えました。

丸5年の節目を迎えて、ここに記録を残します。

私は、2014年の夏に建築工房零(以下零さん)と出会い、同年秋から零さんが所有するゼロ村(泉ヶ岳)の土地をお借りして事業を始めました。そのため私物ではないわけですし、零さんの「健やかな暮らし創造業」という事業コンセプトを受けて、せっかくだから「みんなで楽しみながらゼロ村自体をつくっていこう」と思って活動してきました。

 

令和元年114日に開催された第1回パカラッチョ杯は、ボランティアさんと保護者の提案がきっかけとなり開催されました。大会の参加者を募集しはじめ、最初は45名集まればいいかなと思っていましたが、ふたをあけてみると1歳から71歳までの13名からのエントリーがありました。出場者の中で年齢差が70歳の乗馬大会をみたことがありますか?まさに老若男女問わず集まって、事故なく、楽しい会となりました。私は振り返った時、「5年間の集大成となったなぁ~」としみじみ感じることができました。

↓令和元年 パカラッチョ杯のコースと選手の様子

今まで、ゼロ村の場内整備、各種イベント、2015年秋の大雨による被災からの復興など、ボランティアさん、地域の皆さん、企業の皆さんといったたくさんの方の協力を頂いて村づくりを進めてきました。その中で、「みんなでつくるゼロ村」の一つのモデルを見出すことができました。

新しい未来にはどんな仕事があるの?

さて・・・話は飛びますが、近い将来AI(人工知能)などのテクノロジーの発展によって、今ある仕事のほとんどが無くなるといわれています。

 

みなさんは、この社会問題をどう捉えていますか?

 

私は、この予想される未来に不安を感じるどころか、これからの1020年後が楽しみに思えるのです。 

 

実際、2020年のメガバンクの新規採用者の数は、約30%減るそうです。現金からPayPay等の電子マネーへの移行や、投資などでAIを起用するなどの理由からだそうです。

以前は、工場で何かを組み立てるような単純作業といった「人間以外でも出来る」ことが、テクノロジーの発展により仕事から失われていきました。いわゆる、頭をほとんど使わずに出来る仕事です。

 

しかしこれからは、上記メガバンクの事例が示すように、学歴で優位に立つエリート層の仕事もどんどん減っていきます。「学力」という概念は、次へのフェーズへと移行しつつあります。  

 

 「では、未来にはどんな仕事が残っていくのか?」と問われれば、私は「わかりません💦」としか言いようがありませんが、少なくとも人間にしか出来ない仕事はあると推測しています。


新しい価値を産むプロセス

存在するテクノロジー(現在であれば、SNSやコアワーキングスペース、AIのディープラーニングなど)を活用して「価値/技能/思いを持つAさん」「価値/技能/思いを持つBさん」の二者が対話して協働して新しい価値を作ることです。

 

ゼロ村牧場パカラッチョは、テクノロジーの有効活用にはあまり縁がありませんが、上記の図に近い形で成り立っています。

 

ゼロ村牧場パカラッチョ‼は、A:建築工房零の財産であるゼロ村と会社の社是(思い)である「地球と暮らそう。」と、B:私平井の馬術やボランティア育成などのキャリアと教育に対する思いのコラボレーションで成り立っている場なのです。

 

パカラッチョは、日本中を広~く見渡しても珍しいモデルだと思います。ただ珍しいだけでなく、5年間続いたところに、ポテンシャルの高さを感じています。

 

さな現象ではありますが、宮城県仙台市泉区の泉ヶ岳の一角で、新しい価値が生まれ育っています。

 

 

全国どこでも均一なサービスを提供すれば良い、満足できる時代から、地域社会、地域の環境によって、独自のサービスを生産し提供できる「かたち」が増えてきております。

パカラッチョで産まれた新しい価値

1) 冒頭でお伝えした第1回パカラッチョ杯は、ボランティアさんと保護者の提案がきっかけとなり開催されました。このパカラッチョ杯は、(私が主導権を取らずとも)パカラッチョを好きで来てくださっている方が自主的に最初から最後まで運営をやり切ってくれました。

 

2) 2015年から始まった『森の親子ようちえん』は、食と森の保育小松島四釜園長のアイデアが発端となり、零スタッフの阿部さんと三者で計画し、今では4期目を迎えるほどに成長しました。

 

いわゆる《森の幼稚園》は全国で開催されていますが、親子、中でも親御さんをターゲットにした内容になっており、それが新しい価値となっています。有難いことに沢山の口コミを頂き、今年度はほぼ満員で開催となりました。

 

 


3) ホースセラピー「そよ風くらぶは、パカラッチョにいるポニー「ひめ」の馬主である佐藤葉子さんとの出会いなくしては存在していません。葉子さんは、「将来自分で馬を飼って、障害のある方に乗馬を楽しんでもらいたい。」という夢をもっていました。その夢を実現化しているのです。

全国のホースセラピーは、助成金依存の経営がほとんどですが、そよ風くらぶは、佐藤さん月6万円の委託料を頂き、私の技能を活用し開催することができています。

 

葉子さんは、既存の物々交換的な消費から、『利用者の喜ぶ姿を喜ぶ』という経験を消費されています。

 

最近脚光を浴びつつある「ことの消費」がゼロ村で行われているのです。


4)都市デザインワークスさん企画運営する出張パカラッチョINプレジャーマーケットは、仙台市地下鉄東西線の国際センター駅周辺を盛り上げるために定期開催されています。マルシェの開催、広瀬川河川敷で乗馬教室、河川で川遊びetcと、多くのアクティビティを周辺地域を立体的に捉え開催するという新しい取り組みをやってきました。長らくプレジャーマーケットに関わってきた実績を評価頂き、現在計画中の青葉山の公園づくりにも関わることとなりました。新しい公園の在り方について、会議がおこなわれています。 

 

 

 

 青葉山公園整備事業|仙台市


 ↑完成イメージ

 齋藤和哉建築設計事務所

 

パカラッチョの未来1  →  これらの価値を高める活動

ゼロ村牧場パカラッチョは、今までの積み重ねを礎に、未来のパブリック(公共性)の在り方について模索していきたいと思います。

 

「自然が好き」「この場所にいる動物が好き」「この場所に集まる人が好き」といった、興味関心がさまざまな“自律した人々が集まり、ゼロ村で楽しんだり、自分のキャリアを積んだり、生活に必要なお金を稼いだりということができるような場づくりを進めていきます。 

※自律:自分でできることは自分でやり、できないことは他人と補完しあうこと 

「みんなで作るゼロ村づくり」をこれからも進めていきたいと思います。

パカラッチョの未来2 → 教育的なとりくみ

子どもたちが「他者と協働して新しい価値を創造できる人」になっていくことを大切にしていきます。乗馬や川遊び等といったアウトドア体験教育を通して、多くを学び、成長する機会を提供していきます。とりわけ、「自分自身の価値を高めること」と「コミュニケーション能力を高める」ことに着目して、その教育的な質を向上させていきます。